じょじのにっき

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『雑草譚 結川カズノ百合作品傑作選』女の子たちのどうにもならない感情

こんにちは女児です。今回は今年の3月に発売された結川カズノ先生による作品集『雑草譚』の感想記事です。微妙にネタバレ含みます。そこはご了承を。

 

脆く、残酷で、美しい――私の特別な女の子。

可愛くてキレイで人気者のひなちゃん。
私とひなちゃんとふたりだけの秘密の場所で見てしまった光景。
大好きなひなちゃんの知らない一面に少女は……。

「エクレア」の連作に加え、同人作品「軒下の吸血鬼」を収録。
さらに大ボリュームの描き下ろしを含む結川カズノ初のコミック傑作選。

 

本作は百合アンソロジーコミックス『エクレア』で4回にわたって掲載された『雑草譚』をはじめとする連作と同人誌作品である『軒下の吸血鬼』(+描き下ろし)が収録されています。

では以下よりそれぞれの解説を・・・。

 

 

  • 『雑草譚』

無邪気な女の子のあざみと性格の悪いお姫様のひなこの2人を中心とした小学校が舞台の群像劇的な百合作品。

キャラクターの会話が主として構成されていることもあって登場人物の言動や行動に至るまでの理由が難解でその辺を考えながら読むのが面白い。

 

1話の『雑草譚』では2人きりで雑草に色んな名前を付けるシーンから始まる。この時点であざみのひなこに対する「ひみつの わたしだけのおひめさま」というモノローグの時点で中々の尊さ。秘密の共有っていいよね。

結局1話は転校生のましろによってあざみとひなこが疎遠になる・・・という「え?そこで終わるの?」的な終わり方をするがひなこの考えが見えてくる2話以降からが人間ドラマとしてかなり面白く、2話の『つつじ辻』ではただ高嶺の花として、性格の悪いお姫様として描かれていたひなこが如何にあざみを想っていてかつ一人の女の子として脆い存在かがわかります。

3話の『藪の城』ではひなことましろが衝突。ましろはひなこに「思いはちゃんと伝えよう」みたいなことを言います(4話でも2人のことを気遣っていたし普通にいい奴だと思う)。このときの「今度は都会から来たお姫様に夢中なんだね あいつ」というひなこの台詞に本心が見え隠れしてて尊いですね。

 

そんなこんなで最終話の『名もなき花へ』と続くわけですがここまで仔細に熱く語りすぎたので一旦CM。最終話の掲載されたエクレアrougeではなんとあざみとひなこが表紙を務めているんですよ。いいね。(でも本編は巻頭じゃなくて巻末に掲載して欲しかった(掲載順にうるさいオタク))

 

とまあそんなこんなで最終話で卒業式を迎えるわけなんですが最後の最後というところで結局ひなこは自分の思いは素直に伝えず・・・あざみがどこまでひなこの思いを感じ取ったのかはわかりませんが2人だけが知っている雑草の名前たちを胸に別れ、終わるという何とも切ない終わり方をするのでした・・・。

 

言葉にして伝えたり、素直な行動をすればいいのにそれができないというもどかしさと小学生という年頃特有の他人に対する残酷さを感じるいい作品でした。最後の何かが胸につかえるような読後感もたまらない。良作です。

 

 

 

  • 『軒下の吸血鬼』

「吸血症」という人の血を吸いたくてたまらなくなる病気に罹った女の子とそれを取り巻く女の子のお話。オムニバス的な作品ですが1話の続編が描き下ろしとして(結構なボリュームで)ついてきてます。

内容としてはこれまた『雑草譚』よりも難解で普通に女の子の心の機微を感じ取るのがなかなか難しかったです(IQ3)。『雑草譚』でもそうでしたがこの作品ではより人の悪意や妬みというものがクローズアップされているように感じました。

 

1話と4話でメインに出てくる理々と草子の話ではかなりすれ違いというか人間のめんどくささが出ていたのが特に良かったですね。

 

 

 

 

 

とまあそんなこんなで感想はここまで。

『軒下の吸血鬼』の感想が短いのは普通に女児の理解力が低かったのでうまく言葉にできなかったということでお許しください。しょうがねーだろ5才児なんだから。

 

あとがきでも結川カズノ先生が「なにかがつかえてうまくいかない、そういう人達が好きです」と書いてある通りにもどかしさともやもやが凄いかつ人間の面倒くささが前面に出ている作品なので人間ドラマが大好きな方は是非。

 

ちょっと熱が入ってしまって『雑草譚』の感想に関してはかなり長い記事となってしまいましたがここまで読んでくれた方はありがとうございました。それでは宜しければまた会いましょう。