じょじのにっき

女児のブログです。百合の話がメインです。Vtuberになりました。

『おとなになっても』1巻感想

こんにちは、早くおとなになりたい女児です。

遂に、待望の、あの志村貴子先生の新作、「おとなになっても」が発売されましたね!!!

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小学校の先生をしている綾乃は、久しぶりに立ち寄った行きつけのバーで、朱里に声をかけられる。二人は初対面ながら意気投合し、そのまま朱里の部屋へ。キスをしてまた会うことを約束する。しかし数日後、朱里のバーに現れた綾乃は「夫」を連れてきて……!? 初めての気持ちに戸惑う綾乃と、そんな綾乃に振り回されながらも惹かれる心を止められない朱里。30代半ばになってもまだ全然おとなじゃない。胸騒ぎが止まらない、少しビターな大人百合、開幕!

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女児ももちろん買ったので1巻までの感想記事です。

注意:この記事にはネタバレが含まれます。

 

 さて、感想の前に。

志村貴子先生といえば9年にわたって連載された長編百合の「青い花」が有名ですね。

 

青い花(1)

青い花(1)

 

「もし私の好きな人が女の子だったらどうする?」鎌倉のお嬢様学校&進学女子高を舞台に紡がれる、胸キュン“ガールミーツガール”ストーリー。

アニメ化もされた名作。

女児もこの作品はある時全巻一気に購入して、少しだけ読もうとページを開いたらそのまま一気に読み干してしまったほどにハマりました。

志村貴子先生の描く漫画には先生の漫画にしかないシリアスでもラフでもない空気が流れているのが特徴だと女児は思っていて、その独特な空気と、小説を読んでいるかの様な濃厚さ、そしてエロスが本作の魅力だと思います。

 

と、青い花の話は個別の記事で今後詳しくやるとして、そんな名作を生みだした志村先生が再び長編の百合漫画を描く、しかも社会人の!となったらそれはもう買うしかなかったわけです。青い花も読み終えて久しく、新鮮な気持ちと期待を込めて「おとなになっても」の頁を繰ると……。

 

 

 

 

なんだこの漫画は。

ストーリーは上に書かれてるあらすじで大体わかるので割愛して。

 

とにかく綾乃さんが魔性の女すぎる。35歳であの可愛さはなんなんだ。ノンケでありながら所々で相手をその気にさせてしまう雰囲気を持っているのが無敵感ある。というかなに考えてるか全くわからない……(純粋に素直な人だとは思うんですが)。

そして朱里さん、「私は今までいろいろ経験してきたし?」感を出しときながらも綾乃ちゃんを前にたじろぎすぎでしょ……顔のいい女に弱い女……。元カノが結婚して子持ちになってたりしていろいろかわいそうなので幸せになってほしい。

 

そして夫のキャラも面白い。そもそも「気になる女の人がいる」といい始めた綾乃も綾乃だけど朱里に「妻が気になっている人だと……」とか言い始めるの面白すぎでしょ。この夫のちょっと天然を感じさせるキャラクターが物語をシリアスに偏らせすぎない要因となってて面白い。

さらに姑が「子供はまだ?」とか言い出してきて(死ね)そっち方面でもめんどくさい話が見れそうで、とにかく今は人間関係がめちゃめちゃになってて

面白い!!!!!!!!

 

波乱が波乱を呼んでいる……。まさかのストーリー展開に女児も読んでいて思わず笑ってしまいました。綾乃さんの行動が「そうくるか!」と「そういうとこだぞ」のてんこ盛りで1ページ1ページごとに衝撃を受けます。

 

2巻からの話では夫の妹も絡んでくるみたいで、そこにも百合的な部分があることを期待。「青い花」からもう6年くらい経つらしいですがかなり読みやすくなっている印象を受けます。35歳と35歳。「おとなになっても」恋の悩みは続くんやな。5歳の女児にはわかりませんねぇ。

 

そんなこんなでとにかく面白いこの一冊。話としては実質不倫しているわけなのでダークなのかなと思ったらそんなことはなく、かなりカジュアルで読みやすい漫画です。ワンコインくらいの値段で買えるので気になった人は買おう!!!!!!!!!!!

 

 


 

さて、女児の感想はここで終わり。

この先は「おとなになっても」に関してこの記事を描いている途中にたまたま志村先生へのインタビュー記事を見つけたのでそれの話もついでに。

news.livedoor.com

気になるところを抜粋。

 キャラクターを創造するとき、どんなことを工夫しているのでしょうか?

 

描く側はなるべく、特定のキャラクターに肩入れしすぎず、いちばんニュートラルな状態でいたいです。それと「この子はこういう性格で、家族はこうで……」とか最初に細かく決めるのではなく、描きながら、ちょっとずつ特徴を増やしていくことが多いですね。

 先ほど述べた志村先生の漫画が持つ「独特な空気」をより詳しく言語化する鍵になりそうなところですね。中立な立場で事実のみを描いてるからこそリアリティが出ているのかな、と。

 

 綾乃に「子どもはあきらめちゃったの?」とズケズケと聞いてくる夫の母親も気になります。


主人公が既婚者で家庭がある、というホームドラマ的なものは、じつは読み切り以外でちゃんと描いたことがなかったんです。結婚すると、どちらにも義理の家族ができるのだから、結婚って家族同士の付き合いの始まりでもあるんだな、と思いまして。

 変わった家族の形を描いてきた志村先生にしては意外な回答。結婚を思いあう男女が結ばれるものとして捉えるだけでなく、面倒くさい側面も含めての結婚、という捉え方をしているようですね。

 

 綾乃の夫の行動も、おもしろかったです。自分の妻に「あなた以外に気になる男性ができたの」と告白されたら、「不倫かー!!」と怒りようがあると思うのですが、綾乃の告白は「気になる人は、女の人なの」。まともに怒ることもできない彼の葛藤がすごくリアルでした。


夫の立ち位置についてはけっこう考えました。すごく嫌なヤツにしちゃうのは簡単だけど、「だから妻が女性との浮気に走った→そこに朱里という存在がいた」という流れになるのは嫌だったんです。実際のものごとって、勧善懲悪にはならないですし、「めんどくさい家族を出そう」と思いました(笑)。

 夫の反応に対する質問。やっぱそれ思うよな。逃避としての百合ではなく夫を愛する気持ちも共存した上での朱里への思いを描いてる、というのはわかりますがそれにしてもよくこんな思い切った設定を……とは思います。

 

他にもいろいろとなるほどなと思うところが多かった記事なので志村貴子先生のファンなら必見です。

 

さてさて、ちょっと感想部分が短めな気もしますが(やはりどうしても文字という媒体を使うと自分の語彙力の無さに悲しくなります)今日はこの辺で。じゃねー。