じょじのにっき

女児のブログです。百合の話がメインです。Vtuberになりました。

装丁が秀逸な百合作品について

こんばんは女児です。

突然ですが皆様はどのような基準で本を買っていますか?

漫画や小説、ゲームなどを買うときには基本的には内容を重視することが多いですが、表紙に惹かれて買う所謂「ジャケ買い」をしたことがある人は少なくないと思います。

 

女児が百合漫画を買うときにも本の表紙をはじめとした装丁を基準として選ぶことがあります。装丁が素晴らしい本というものはそれだけで購入する理由に足り得るものです。

と、いうことで今回は百合コラムとして「装丁が秀逸」という観点から百合作品を紹介していきます。

 

……あ、ちなみに今回の記事長いですよ? ゆっくり読んでいただければ。

 

 

 

 

装丁と作品の雰囲気が合致している作品

と、いうことで早速紹介していきます。まずは純粋に表紙がいい! と思った作品から。

ちなみに今回は長くなりそうな予感がするので作品の内容に関する説明は最低限に抑えて書いていきます。

 

春とみどり

好きだった親友の娘を引きとりました――。人づきあいが苦手で、どこにいても居場所がないと感じているみどり(31)は、中学時代好きだった親友・つぐみの葬儀で、つぐみと瓜二つな彼女の娘・春子(14)と出会う。……居場所がないみどりと居場所をなくした春子、そんなふたりが織り成すセンシティブ同居譚。

1つ目に紹介するのはこちら。深海紺先生の作品。うーん、良いね! ……という感想だけだと寂しいので詳しく言うと、

淡いタッチで描かれた表紙からは何か切なさやある種の清々しさを感じますし、2人の表情や春子(左の女の子)の抱えている遺影から2人がまだぎこちない関係であることや何か大切な人が亡くなったお話であることが伺えるほか、上部に描かれた桜が出会いの季節を想起させます。また、ただ「春とみどり」とシンプルにタイトル及び作者名が書かれているところに何か文学的な雰囲気も感じさせます。

 

といったところですが、こんな長ったらしい説明をしなくともこの作品の持っている魅力(安っぽい言葉で言うと「エモさ」)がしっかり伝わってくる表紙だと思います。

この作品を読んだうえで改めて見てもやはりこの作品にはこの表紙しかないと思ってしまう、そんな作品です。

 

 

 

この靴しりませんか?

童話をモチーフに描いた5本のガールズラブ作品集が描きおろし12pを加え完全版で登場。ほんのりふんわかな水谷ワールド全開!な物語の数々をお楽しみください。

続いて水谷フーカ先生の作品。この作品は短編集なのですが、まず表紙と背表紙で作中のカップリングが糸で繋がってるのが良いです。

 

が、特に私が良いと思っているところは、この表紙の持つ雰囲気です。

この作品のお話は童話をモチーフとした作品が収録されているのですが、実際紙の本を見ると何か少し可愛らしい雰囲気に童話っぽさを感じます(帯がついてるとより童話のメルヘンでおしゃれな雰囲気を感じる気がします)。

この赤っぽいオレンジのカラーリングも本棚で並べた際にしっかりと個性を主張してくれますし、表紙の紙も少しざらついた質感の紙が採用されており、その雰囲気づくりに一役買っています。

「童話」という作品の切り口をしっかりと際立たせた表紙です。

 

 

 

繭、纏う

制服が息する音、聞いたことある?
森に隠されるように建つ星宮女学園高等学校。
伝統の制服は、まるで生きているように美しい……。
初短編集『熱海の宇宙人』で鮮烈な印象を残した新鋭が贈る初連載。

原百合子先生の作品。

作中の耽美な世界に表紙の時点で引き込んでくれるような、ダイナミックながらも繊細さを感じる表紙になっています。

原百合子先生にしか描けないその筆致を最大限に生かした良い表紙です。

 

この作品以外にもKADOKAWAのビームコミックスに関しては他にもダイナミックな表紙が多いイメージです。レーベルの個性に注目して本を選ぶというのもまた一興です。

 

 

 

表紙の加工が素晴らしい作品

続いては表紙の加工が素晴らしい作品について紹介。

 

破滅の恋人

その女は幽霊か魔女か。秘密基地のような幽霊屋敷に住む幽霊ではなく優麗な美女と少女との邂逅。謎多き美女と、彼女に引き寄せられてゆく少女の物語、待望の第1巻。

郷本先生の作品。現物を見ればわかりますがエンボス加工が素晴らしい!

純粋で幼い少女を怪しげな煙が絡めとっていく……その様子が表紙にてしっかりと表現されています。

郷本先生の作品というと芳文社から出ている「夜と海」がありますが、あちらは「水」を基調とした表紙でしたが、こちらは「煙」を感じさせます。

比較的最近かつ連載中の作品のため、続刊の加工にも期待です。

 

 

 

メジロバナの咲く

奨学生試験を無事乗り越えて学園に残れることになったルビー。一件落着も束の間、学内に起こる不思議な出来事…。リズとステフの邂逅を描いた前中後編も収録した中村明日美子初の長編ガールズラブ第3巻。

楽園つながりでこちらも紹介。中村明日美子先生の作品。

こちらは表紙に箔押し加工がされています。

上記の作品もそうでしたが表紙のプレミア感が良いですね!

中村明日美子先生の描く作中の女学院の高貴な雰囲気を感じさせる良い表紙です。

 

ところで私は詳しくないのですが、こういった装丁って出版社的にはどのくらい大変なのでしょうか……。前段で紹介した「この靴しりませんか?」もそうですが、楽園コミックスの本へのこだわりには感心するものがあります。

 

 

 

徒然日和

田舎の女子高生は好きですか? 友達以上恋人未満な女子高生4人組が送る、田舎のまったりスクールライフ。特別なことは起きないけれど、この日々はきっと"とくべつ"

土室圭先生の作品。

正直言うと上記2作品に比べたら加工があるわけではないのですが、百合姫コミックスにしては珍しく少しさらさらとした紙が使われています。

 

……いや、まあそれだけなんですが純粋にこの作品お気に入りなので紹介させてください。過去の記事でも紹介しましたが、この作品の持つ優しさを感じさせる良い手触りで、ぜひとも実際に手に取ってまったりと読んでみて欲しい作品です。

 

 

 

帯やカバー裏が秀逸な作品

続いては表紙だけではなく帯やカバー裏にも魅力を感じる作品の紹介。

 

やがて君になる

人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える新入生・小糸侑は、生徒会の先輩・七海燈子が告白を受ける場面に遭遇する。誰からの告白にも心を動かされたことがないという燈子に共感を覚える侑だったが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「私、君のこと好きになりそう」

仲谷鳰先生の作品。この作品といえば説明の必要もないくらいの超名作ですが、帯に関して語るにしてもこの作品を選ばないわけにはいかないでしょう。

シンプルながらもただならぬ雰囲気を感じさせる帯で、当時は新刊が出るたびに心躍らされたものです。

1巻の「わたしを好きな、わたしの先輩。」と8巻の「わたしの好きな、わたしの先輩。」が対比になっているのもいいです。

ちなみに、アニメ化が決定した際に帯がアニメ化決定! 仕様になっていたのですが、界隈では少し残念がられていました。

 

 

 

小百合さんの妹は天使

誰からも愛されない、選ばれないと心を閉ざして生きてきた地味な女の子、小百合さん。自分と違って可愛い妹の美琴と13年ぶりに再会するが、妹は天使になっていて…!?

「やが君」とは違ったベクトルで秀逸なのがこの作品。伊藤ハチ先生の作品。

とにかく見てもらったらわかりますが、

こっちは全力フルスロットル!!! といった感じです。

個人的に姉妹百合が好きということもあるのですが中々の破壊力を感じます。4巻の産道発言(※)が帯に採用されなくてよかった。裏で「おねえちゃんの処女は~」のシーンが抜粋されていることは無視しましょう。

 

※4巻の美琴による「おねえちゃんと同じ産道も通ってないくせに」という名(迷)言の事。

 

 

 

神絵師JKとOL腐女子

美人だが恋人ナシ。残念すぎる腐女子OLの相沢。
ある日、彼女が“神”と崇める絵師・ミスミが同人誌イベントに出ることを知り、会場へと向かう。
しかし、お目当てのブースにいたのはなんとも可愛らしい女子高生だった――!?

面白関係でこちらも紹介。さと先生の作品。こちらの記事でも紹介したのですがこの作品の魅力といえばパワーワードに次ぐパワーワード

そんなセリフたちがカバー裏で楽しめちまいます。

カバー裏におまけ漫画や裏設定などが載ってる漫画もいいですが、こういった方向性で楽しませてくれるのも好きです。

 

 

 

Avalon

Avalon 幸福を紡ぐ百合アンソロジー
向かう未来(さき)はひとつだけ あなたとふたり、いつまでも

百合専門レーベル girls×gardenより、初のアンソロジーコミックが登場!
一般誌・成年誌の垣根を越え集まった気鋭の作家陣が描く、
きらめき色づく女性同士の’幸福な関係性’の全てがここに--。

続いて紹介するのはジーオーティーによる百合アンソロジー。シリーズとして「Avalon」「Avalon~bitter~」「Avalon~bloom~」「Avalon Alter~karma~」が発売されており、後続のシリーズとして「Qualia-Envy-」「Qualia-jealousy-」も発売されています。純粋に一目見て装丁も素晴らしい本なのですが表紙を外すと……?

なんと表紙の女の子たちの小説が読めます。お得!

アンソロジーのテーマ(ライトorダーク)に小説の内容もしっかりと沿っています。

ちなみに表紙で小説といえば2021年の百合姫も表紙に小説が載っているという仕様でした。

表紙のために一作品作る必要があるため、とても贅沢さを感じます。

 

 

 

ギミックの楽しい作品

並べて楽しい開いて楽しい作品を紹介。

 

総合タワーリシチ(完全版)

ド猫っかぶり神奈が入学したのは曲者ぞろいの総合学科。省エネ天才児の悠に翻弄されつつ戦いの火蓋は切って落とされた!?百合アンソロつぼみの超ハイテンション百合コメディが新装版になって登場!その後の話描き下ろし24ページつき!

あらた伊里先生の作品。「つぼみ」に掲載されていた作品の新装版なのですが、お察しの通りこの表紙を2巻並べると……。

2人がくっつきます!!!!!! 最高!!!!!!!!!!

やっぱり百合漫画はこうでなくてはね。この表紙に関してはあらた伊里先生のTwitterにて下記のように語られています。

 

う~ん、尊い……。

こういった仕掛けは巻数の決まっている新装版だからこそですね。

 

 

 

ふたごわずらい

「伊澄アコ」と「伊澄こまち」は双子の姉妹。幼いころから通じ合っていた二人だったが、高校3年生になってからアコは漠然とした違和感と不安を覚えていた。こまち以外に心の拠りどころを求めるアコは、放課後の教室で副担任の「大沢麻紀」先生に強引に詰め寄りキスをする。しかし、妹のこまちが向かいの校舎からそれを見ていて…。いびつな姉妹の愛。青春の終わりに、絆を結び直すジュブナイルストーリー。

桜野いつき先生の作品。上記作品のように並べてどうこうという訳ではないですが純粋に1巻と2巻の対比が良いなあという表紙。

1巻の暗く拗れた雰囲気からの2巻の神聖さったらないですね。はい、これも双子姉妹百合紹介したかっただけです! 買ってくれよな。

 

 

 

百合姫2017年2月号

我らがコミック百合姫本誌もご紹介。こちらは2027年2月号になります。月間化がスタートした年ですね。一見すると気になる先輩を目で追ってしまう後輩ちゃんといった感じですが……。

表紙を開くとなんと友達ちゃんが!? とドキッとさせられる仕掛けが。

ちなみにこんな感じの表紙で行くとなもり先生が表紙を担当されていた際にも似たような仕掛けがあったようです。

ちなみに私はこの2017年2月号辺りから百合にハマり始めて百合姫を買い始めた時期でもあるので、ちょっと思い出深いです。

 

 

 

ゲームの装丁の話も!

アンソロや雑誌の話までしたならもっと幅広い話もしたいよね!ってことで最後に1本だけゲームの話もさせてください。

 

FLOWERS

FLOWERS 四季 - Switch

FLOWERS 四季 - Switch

  • プロトタイプ
Amazon

高い塀と森に囲まれたミッションスクール、聖アングレカム学院。
美しい少女たちが集う閉ざされた学院に、心に傷を持つ少女、白羽蘇芳が入学する。
とある事情から内にこもり家族以外の者と触れ合ったことのない彼女は、疑似的に“友人"を作らせ学院での全てを共にさせる。
アミティエ"と呼ばれる試みを行う学院に惹かれたのだ。

学院からあてがわれた仮初めの友、彼女らへ向けられる仄かな恋心。
緩やかに流れる学院生活の中で起こる、学院生徒の不自然な消失……。
少女たちは学院の中で何を見、何を掴むのだろうか―――。

最後に紹介するのはこちら。イノセントグレイより発売された百合ゲーム、FLOWERSです。上記は四季版ですが紹介したいのこちらの初回限定版。

CDサイズの紙製の箱にゲームが封入されています。(春編と冬編は手に入れられなかった……)

この作品は見てもらえれば分かる通り絵柄の美しさが素晴らしいのですが、その芸術性をさらに高めたような繊細でかつ温かみのある装丁だと思います。

ゲームの良さをさらに生かした装丁なのが良いですね。

 

 

 

と、いうことで百合作品×装丁についての記事でした。

いろんなジャンルで装丁に関する話ができたんじゃないかと思います。

 

電子化の進む昨今ですが、こういった作品たちに出会うと紙の本にしかない魅力というものが確かにあると感じます。

またこういった凝った装丁の作品を見るたびに思いますが、作品とはその作品の著者だけでなく編集者をはじめとした様々な人が関わって作られているということを考えると良いものを作ってくれている出版社の方々には頭が上がらないですね。

 

では今回の記事はここまで。長い記事ですが最後まで読んでくれてありがとうございます。

皆さんも(百合に限らず)おススメの装丁がされた本についてコメント等で教えてくれると嬉しいです。

ではまた。