じょじのにっき

女児のブログです。百合の話がメインです。Vtuberになりました。

コダマナオコ先生が生み出す百合作品の魅力

こんにちは、女児です。今年の五月に遂にコダマナオコ先生の新作、「海猫荘days」の1巻が発売されましたね!

唯一の親友に、婚約者を奪われた真由美。全てを捨てて、全てから逃げて、知り合いのいない田舎で心機一転中学教師生活…!と辿り着いた先で一番苦手な金髪ヤンキーに絡まれ、一緒に海に落ちるハメに。元凶のヤンキー女子・凜は、よりにもよって真由美の下宿先「海猫荘」の管理人だと名乗り…。傷を負ったオトナ女子を取り巻く海辺の街の日々と人々の物語、開幕。

(Amazonから引用)

舞台が田舎というのがほのぼのしてていいですね、田舎のまったりとした時間の中での百合。心に沁みます。

傷心の都会から逃げてきたコミュ障教師の真由美と下宿先の田舎ヤンキー凜。まあヤンキーとはいっても普通に優しい人なので、色んなことがありながらも真由美と凜が徐々に関係を深めていくという、ほのぼの雰囲気を楽しみつつなライトコダマ(ライトコダマ、ダークコダマの概念は後に解説)作品が展開されてゆくんだなぁ……

とか思ってたら甘い。2話でその幻想が打ち砕かれました。

というのもこの作品では本筋とは別に、海猫荘によく入り浸っている阿島とその異母姉妹のさくらのお話が並行して進んでいくのですが……。

この阿島ちゃんというキャラが中々に強烈で、一言でいうとダークコダマ作品からの刺客です。

 

事は阿島がさくらの母親の実の子でないということで虐められている、ということを真由美が知ることから始まります。虐められていることを知った真由美は海猫荘で私に相談してと持ち掛けるも「マニュアル通りの台詞」「別に無理してそれっぽいこと言わなくていいよ」「こっちも別に求めてないし」と一蹴。

しかも夜遅く帰ってきた阿島を注意するさくらに対し突然のキス。「私、『淫乱な商売女の子』だから」と、いじめっ子が言っていた台詞を引用して言いのけて2話が終了。つ、強すぎる……。

 

本誌でこの展開を目の当たりにしてしまった女児はもう阿島ちゃんにメロメロ。めんどくさい女は大好物です。

 

この後も阿島ちゃんさくらちゃん関連の話が続いて(本筋は?と思いつつも)いくのですがその辺は自分の目で確かみてみろ! 

 勿論女児をフォローしていただいている方はすでに読んだかと思われますがまさか読んでない人達も是非。後に名作になりますので。

 

と、長々語ってしまいましたが本記事は過去発売された様々なコダマナオコ作品とその魅力を語っていこう!という記事です。多分めっちゃ長くなります。もう1,000文字です、先が思いやられるなぁ……。

 

  • 「ライトコダマ」と「ダークコダマ」について

コダマナオコ先生の作品を語る前に紹介しておかなければいけない概念として「ライトコダマ」と「ダークコダマ」があります。

コダマ先生の作品のあとがきでもしょっちゅう話題にされているのですが、先生の作品は「おバカ、ラブラブ(そしておっぱい)」などの要素を詰め込んだライト作品と「昼ドラ、ドロドロ、嫉妬(そしておっぱい)」を詰め込んだダーク作品の二つに大別できます。

コダマ先生曰く両方とも描いていくとのことですがライト作品とダーク作品では結構毛色が違うことに注意。

 

それではライト作品→ダーク作品の順に紹介していきます

 

  • 親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。

子供の頃から、親の敷いたレール通りに生きてきた真知。
上場企業に就職し、ようやく親からアレコレ言われなくなる…と思いきや、
今度は「お見合いして結婚を! 」と迫られて爆発。
後輩ジョシ・花と偽装結婚することに。
昔告白された相手との同居生活は、
窮屈な様で、意外にも心地よくて…。

 去年発売された比較的最近のライトコダマ作品。読み切り作品の「無酸素恋愛」も収録(こっちはダークより)。

内容はタイトル通り。説明の手間が省けていいですね。主人公の真知がサバサバしててかっこいいところが好きです。

 

後に紹介する「捏造トラップ」が連載終了した直後の作品なだけあって百合ナビさんで開催された百合漫画大賞2019では10位にランクイン。

ライトなのに加え1巻完結で読みやすいので、コダマ作品に興味はあるけどどこから手を出していいかわからない……という人に取り敢えずお勧めできる一冊です。

 

  • レンアイマンガ

憧れの漫画家、黒井律先生の新担当に抜擢された、ハルカ。オシャレにも気合いを入れて挨拶にむかうものの、出て来たのは冴えない見た目でネクラそうな喪女だった…。自分を変えてくれた作品と作者のギャップに萎えてしまったハルカ。第一印象は最悪だったが、漫画に命を賭けて取り組む不器用な黒井先生を目にし、一番近くでサポートしたい、といつの間にか願うようになって…。作品を通して会話し、絆を深めるふたりの物語、新たな描き下ろしも収録して再登場!!

 芳文社の百合アンソロジー「つぼみ」(現在は廃刊)に連載されていたライト作品です。現在では百合姫コミックスから新装版が出ています。

憧れの漫画家の編集者になれたハルカと根暗な漫画家、黒井先生のお話。

黒井先生のキャラは「海猫荘days」の真由美みたいな感じです。

 

とにかく尊い!!!!!!!!!すっきり纏まっていて読みやすい作品です。5話最後の2人が道端で会う大ゴマのシーンは必見。とてもきれいな場面で、女児が初めて読んだときには不覚にもうるっと……。

直接的な関係になるわけではないですが最終的に同棲することになるので(漫画家と編集者がいいのか?)百合度合いももちろん安心。読みやすいのでこちらも初心者にお勧め。

 

  • 残光ノイズ
残光ノイズ 完全版 (百合姫コミックス)

残光ノイズ 完全版 (百合姫コミックス)

 
からっぽなワタシ くだらない学校、代わりのきくトモダチ。なのにそんな世界に自分をあわせる、サイコーにつまんないジブン。息が詰まりそうな日々。だがそんなある日素子は自分だけの隠れ家をみつけた…ひとりになりたいとき、そこで時間を過ごしていた…のに、侵入者…!? それが亜梨美。派手でトモダチの多いカノジョの、素直な好意と不敵な態度に戸惑う素子。いつしかカノジョの侵入を待つようになって… 描き下ろし表題作[残光ノイズ]、婚約をきっかけに再燃する、同級生との秘密の百合関係[邂逅エフェクト]百合アンソロジー[ユリヒメWildrose][つぼみ]にて発表されたHでかわいい女の子たちなど、さまざまなラブを6編収録。(旧版の紹介文より)

 こちらは短編集です。「つぼみ」や「百合姫wildrose」などに掲載された作品が7編収録されています。

内容はランジェリーショップに行ってそのままH!みたいなおバカおっぱいな作品から久しぶりに再会した女同士の駆け引きの作品まで様々。

 

女児的にお気に入りなのは6畳間でバイト仲間と致す「キュービックスターシップ」かなぁ。「この六畳一間のアパートが世界から隔離されてるんじゃなくて、この部屋の中だけが世界なのかも」の台詞が印象的(この作品だけあとがきに載ってないけど)。

表題作の「残光ノイズ」もかなりお勧め。なんでもない相手だと思ってたのに気づいたら自分の心の中に住み着いてるって、尊いですね。

 

さて、ここからはダークコダマ作品を。

生まれて初めてカレシができたjk、由真は、ドキドキの毎日。幼なじみで男子にモテる美少女、蛍につきあい方を相談したのに、ウブなのをからかわれ、なぜかキスされたりと翻弄されっぱなし。お互いのカレシを含めたダブルデート中にも身体を触られたり、カレシともしたことないことを蛍に先にされちゃって…!?エスカレートする、カレシに隠れた蛍とのアレコレに、いつの間にかハマってる自分に気づいた由真だけど…。放課後jkふたりの、秘密のAtoZ。バレそうでバレないふたりの関係は…?

 全6巻、もはや説明不要。アニメ化もされたコダマナオコ先生の代表作です。

お互いに彼氏持ちなのに蛍の誘いを断れず流されてしまう由真だが……。

 

お互いに彼氏持ちという「これ百合漫画でやっていいのか?」という異色の百合漫画。とにかくHしまくり。誘ってくる蛍も蛍だけど彼氏がいながら断らない由真も中々……。あと武田がかわいそう。そして藤原は死ね。な作品です。

 

基本的には彼氏がいるのに……どうしよう……という由真の葛藤を見ていく作品。蛍がかなりめんどくさい女なのがイイ。ハチャメチャな状態でスタートしますが最後はなんとも尊い、いい終わり方をします。必見。

ちなみにアニメ版では原作とは違う終わり方でしたがあっちはあっちで綺麗に纏まってて結構好きです。

 

あ、武田と藤原の話が一回一迅社のBL雑誌に載ったらしいですよ。マジ?

 

  • 不自由セカイ
不自由セカイ 完全版 (百合姫コミックス)

不自由セカイ 完全版 (百合姫コミックス)

 

自分をいじめから救ってくれた同性の先輩・礼央を慕う可憐な少女・茗子。いつしかその想いは強い独占欲に変質していく。自分の感情に戸惑いながらも日々を過ごしていたそんなある日、茗子は暴漢に犯されてしまう。彼女を守れなかったことに責任を感じる礼央。その罪悪感を利用して、茗子は礼央を束縛し始める。周囲からすれば異常な関係。しかしそんな茗子を見て、礼央は誓う。“奴隷になる”ことを。彼女のいつ癒えるともしれない傷を自分の痛みとして。オール描き下ろしで贈る、少女二人の恋の限界を探る愛憎劇。(旧版の紹介文より)

 1巻完結。紹介文から察せられる通り超ダーク作品です。先輩を奴隷にするという拗れた関係がいい。

とにかく拗れに拗れまくったクッソ暗い百合作品です。読んでて息苦しいので窒息死したい人にお勧め。かなりのダークっぷりですがハッピーエンドで終わりますのでその辺は安心。

 

個人的に好きなシーンは茗子が「私と同じ目に遭ってみる?」と礼央を犯すシーンでの「指なんかじゃなくて男の人の身体になって彼女に性器を挿入したい」「あの男がしたような乱暴なものじゃなくてゆっくり礼央さんの身体を開いてやさしくしたい」という一連のモノローグ。

後に後悔の涙を流すシーンも含めて茗子の葛藤が感じられるシーンです。

ちなみにあとがきでコダマ先生が「暗い話はボツが多いのに、当時の担当さんのオールオッケーっぷりにはびっくりした」とのようなことが綴られています。自覚はあるんですね。

 

最後に女児の好きな作品を。

  •  コキュートス
コキュートス 完全版 (百合姫コミックス)

コキュートス 完全版 (百合姫コミックス)

 

クラスで悪目立ちしないよう、浮かないように日々生活をしていた椎名。そんなある日、教室で異端扱いされている黒崎美音子(クロネコ)と放課後一緒に残ることに。異端と一緒にいると自分まで異端扱いされると恐れるが、何者にも縛られない自由な彼女に惹かれていく──。表題作の他描き下ろし「モラトリアム-ITSUKI saide-」などを収録した殊玉の作品集。

 こちらも短編集。関わりたくないのに、それでも惹かれあってしまう椎名とクロネコさんの関係を描いた「コキュートス」、思春期の少女たちの不安を描いた「思春期メディカル」、恋人になりたいという想いと恋人にはなりたくないが今のままで一緒にいたいという伊月と真央の思いが交錯する「モラトリアム」の3編が収録されています。

 

他2題もまあまあダークなのですが「コキュートス」はかなりダーク、というか世界観が過酷で、みんなクラスの中で悪目立ちしないようにと必死に生きてる感じがリアルで、息苦しくて最高です。

「浮かないように悪目立ちしないように必死で生存競争してる感じ」「どうしてこんなに生きづらいんだろう」「そしてみんなの生きづらさのしわ寄せがこうやって一番目立つところに出るんだきっと」という一連のモノローグもこの現世の辛さを語ってますね。ほんとだよ。

 

いじめっ子に目をつけられたクロネコさんに関わらない方がいいと思うのに、欺瞞に満ち溢れた世の中を嘘をつかずに生きていくという彼女の綺麗さにどうしても惹かれてしまう椎名。

この「どうしても惹かれてしまう」という恋のどうしようもなさは上で紹介した親がうるさいので~に収録されている「無酸素恋愛」や「捏造トラップ」でも描かれていて、これがコダマ先生の作品の大きな魅力の一つだと思います。

 

作品を通して冷たい風に吹かれているような独特の雰囲気を味わえる作品です。買ってくれ。

 

ちなみに女児は表題作の「コキュートス」が家が火事に襲われた時にはこの漫画だけでも絶対持って逃げたいと思うくらいには大大大好きで、死んだときに棺桶にこの本を入れてもらおうと決めています。

 

 

 

 

如何でしたか?真面目に全部読んだ方、お疲れ様です。飛ばしてここまで読んだ方、なげーよという方、とりあえず「コキュートス」「レンアイマンガ」を読んでください。

コダマ先生の作品の魅力は何といっても雰囲気や演出にあると思っていて、その辺は紹介しても読んでみないことにはわからないので取り敢えず読んでください。

〆の言葉も思いつかないのでとっとと終わります。読んでください。

 

……海猫荘daysにもダーク要素いっぱい来て欲しいなぁ……。